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安全書類のペイン


安全書類では、作成〜提出までのプロセスの前後に非常に多くの課題感を抱えていました。 シェルフィーでは、業界で働く方へのヒアリングやGreenfile.workを導入いただいたお客様へのインタビューを通じて様々な問題点を探り、解決策となる機能のプロダクトへの反映を重ねています。
下記は、それら建設業界の方々とのコミュニケーションによって判明した安全書類における”ペイン”の一例です。
※元請企業・協力会社のそれぞれの視点から総合した例をピックアップ

1)安全書類は利益を生まないが、法令による作成義務がある

「安全書類」という呼称で包括されている書類の一つ、「施工体制台帳」(※その現場に関わるすべての建設業者と、各業者の代表技術者などの氏名を網羅した書類)は、建設業法によって作成の義務があります。
発注者から直接、建設工事を請け負った特定建設業者が当該工事に関して締結した下請金額の総額が4,000万円(建築一式工事6,000万円)以上となる場合、施工体制台帳を作成し工事現場ごとに備え置かなければならない。 『建設業法 第二十四条の八 第一項』より抜粋
その現場にどういった企業や関わったのかを記録する義務があるため、各業者がいつ・どこで・どんな作業を・誰が行ったかを記録する必要もあり、安全書類もほとんどの現場・企業で作成することが当たり前となっています。
安全書類は建設現場における「ログ」の役割なので、どれだけ増えても利益には直結せず、むしろ安全書類にかける残業など人件費の点ではリソースを割くほどマイナスです。

2)安全書類の回収と修正に時間がかかる

紙の安全書類を取り扱っていた現場では、元請企業が協力会社へ安全書類の提出を依頼→実際に上がってくるまでに、およそ3〜4日程かかるのことが普通といった状態でした。
時間のかかる要因は各社様々ですが、
  • 書類を郵送するため時間がかかる
  • 資格の写しや関係書類などの回収作業に時間がかかる
  • 提出前の自社側での情報の抜け漏れの確認に時間がかかる
といったようなケースで時間を要していました。
さらに、これら書類を回収する1次請企業や元請企業が、提出された書類に不備がないか是正確認を行います。
元請企業は原則、不備のない安全書類を回収しなくてはなりません。 そのため書類上の不備チェックには各社工夫を効かせていますが、紙ベースの書類ではどうしても是正作業に時間を要します。

3)是正指示後の確認とファイリングに時間がかかる

さらに、1度の是正指示でスムーズに修正されるとも限りません。
数ラリーを経て完成するといった例も珍しくなく、チェックを行い修正指示を出すだけでもかなりの人的リソースを必要としてきました。
無事に完成した書類が上がってきても、管理も一筋縄では行きません。 きちんと全社の書類があることを確認したら、施行体制ごとにバインダーにファイリングします。
1現場でファイルの紙の束が1000枚を超えることも珍しくなく、いざという際、特定の会社をピックアップし確認するといったことも非常に苦労します。
さらに、安全書類は法令で10年の保管義務があるため、専用の倉庫を用意無くては収まらないほど紙の束であふれるといったこともありました。
実際の安全書類を綴じたファイル。キングジムの最もサイズが大きいバインダーをいくつも利用する
実際の安全書類を綴じたファイル。キングジムの最もサイズが大きいバインダーをいくつも利用する

4)担当者によって安全書類の知識に差があり書類の品質が均一化できない

安全管理も現場業務と引けを取らないほど覚える知識が多い中、安全書類はそれだけでも覚えることが膨大です。
  • 建設業法や安全衛生法が混在し、正しい書類かの判断=法律の知識を求められる
  • 定期的に法改正が行われ、確認すべき内容の変化が高頻度
といったように、正しい判断を行うために求められる最新情報のキャッチアップコストが高いです。
また、現場のわかる人と連携した事実確認であったり、各職人から資格書の写しをもらうといった知識でなく手数が求められることも日常茶飯事です。
このようなあらゆる手間が多いため、新人教育にもリソースを要します。 そのため安全書類の品質に個人差が生まれやすく、教える側も教わる側もハードルが高い業務となりがちです。
かつては安全書類のフォーマットも各社バラバラで、全国建設業協会が平成7年(1995年)に「全建統一様式」を制定し、現在では全国へこのフォーマットが普及しています。
Greenfile.workでもこの様式に則り、さらに書類に不備があった場合でも自動でチェック・指摘する機能などによって、利用者の知識の均一化に貢献しています。