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建設業界って、IT化が遅れてる?
A)いいえ、むしろとんでもなく進んでいる
古き良きなイメージが根強く、特にIT企業の文脈では「旧態依然の」や「アナログな」と語られがちな建設業界。
実態としてテクノロジー導入が遅れているかと言うと全くそんなことはなく、むしろ進んでいる、というのが、私達が建設産業に向き合い続けてアンラーンした大きなポイントの一つです。
突出して進歩している建設テクノロジーの例をいくつか以下に記載します。
ICT建機
ICTとは情報通信技術のことを指しており、これをショベルカーやブルドーザーなどの建機に取り入れたものをICT建機と呼びます。ICT建機は、特に労働者割合が多いかつテクノロジーの進歩が遅れている土木工事・コンクリート工で生産性向上が見込まれています。
ICT建機の登場により、これまで実際に建機を使った施工に至る前に必要だった人の手による図面の設計や検測の省略であったり、掘削が必要な土の深さがミリ単位でコントロールできるなど、工期や労働時間が短縮に繋がりました。
これらには建機を完全に機械操作するものと、操作を補助する自動制御タイプがあります。
これまで土木工事における建機の操縦は「熟練の技」を必要とする非常に難しい仕事でしたが、自動制御が可能なICT建機により、経験の浅いオペレーターや女性でも施工ができるようになります。
これにより施工の正確性だけでなく、安全性の向上も見込まれます。
国交省が推進するi-Constructionが掲げる、「魅力ある建設現場を目指す取り組み」の中でも特に代表的なテクノロジーのひとつです。
i-Constructionとは?
国交省が掲げる20個の生産性革命プロジェクトのうちの一つで、測量から設計、施工、検査、維持管理に至る全ての事業プロセスでICTを導入することにより建設生産システム全体の生産性向上を目指す取組みです。
ドローンの活用
従来の測量方法では数千地点を測量するのに1週間かかっていましたが、ドローンを用いることで数百万地点の測量を15分で完了することができます。
さらに写真測量により測量データを3Dで生成することができ、設計・施工計画時に必要な土の量を自動算出するといった省力化にもつながります。
また竣工後においてもドローンを使えば検査に必要な項目を半分にでき、これまでに必要とされていた大量の書類提出が不要になります。たとえば、道路の延長工事では検査書類が50分の1に減ると言われています。
BIM
BIMとはBuilding Information Modelingの略称で、コンピューターで作成した3次元の建築物のモデル=「形状情報」に加え、その形状が壁なのか建具なのか、その材質は何かといった「属性情報」を持たせる手法です。
建築の設計・施工から維持管理といったあらゆる工程で情報活用を行うためのソリューションであり、建築の企画・設計段階から施工時や完成後を想定できるので、よりスピーディーになり感覚的な判断もなくなり間違いのない計画・設計が期待できます。
BIMの概念はアメリカ発祥と言われており、欧米の建設業界では国や自治体が積極的に取り入れた背景もあって広く浸透しており、大規模な建設工事のほとんどでBIMが採用されています。
日本国内はまだ発展途上にあり、プラットフォームや業界の足並みなど共通化すべき基盤が整っていないことや、BIMの開発が不十分であることやコストが高いといった点が遅れている理由にあたります。
xR技術
ARやVR、MRといった「XR分野」は、昨今ではゲームやソーシャル分野での発展が勢力的ですが、これらのバーチャルテクノロジーは建設・建築業界との親和性は高く、業界各社も早い段階から実験を重ねながら取り入れています。
AR技術では、カメラ越しに実際の現場へ実物大のオブジェクトを配置できるため、例えば戸田建設はそのテクノロジーを駆使し、建設用機械が現場へ正しく配置できるかのシュミレートなどに役立てています。
VRも同様に業界内の様々なシーンで活用され、安全領域では現場の危険な状況を体験できる訓練向けであったり、建設機械の操作をVRで行い若手や女性でも免許取得がしやすいよう教習を行うといった工夫が見られます。
特に東京での工事例で記憶に新しいのは、2020年に渋谷駅の銀座線ホームの切り替え工事にてVRやBIMが惜しみなく投入されました。これによって、今まで施工管理担当が工事を理解するのに掛けていた時間が半分に、人件費は60%もの削減につながりました。