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安全書類って?


安全書類とは、安全を守るために作る書類の総称

安全書類とは、建設現場の安全を守るためにつくられる書類群の俗称・総称のことを言います。 ちなみに、法的に「安全書類」という存在はありません。 法律の範囲では大きく
  • 施工体制台帳等
  • 労務安全書類
の2種類に分かれ、細かいものを含めると約30種類前後もあります。(下記図には主要のもののみ記載)
特に施工体制台帳関係書類は、総工費が4000万円以上の現場は必ず作成し、書類によっては5〜10年の保管義務が建設業法によって定められています。 https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000699485.pdf
 
各書類は会社単位で作る必要があり、それぞれ現場に入る会社が自社分を作成します。 作った書類は直近の上位会社に提出し、最終的には1次請企業が元請企業へと提出、提出された元請企業は責任を持って保管し、有事の際に確認できるようにしておきます。 すなわち現場の工事規模次第では、元請企業は1現場だけでも数百〜千もの書類を保管する必要が発生します。
100社以上が記載された「施工体制台帳」の掲示の様子(こちらのTweetを掲載許可いただきました)
100社以上が記載された「施工体制台帳」の掲示の様子(こちらのTweetを掲載許可いただきました)
Greenfile.workユーザーの企業が実際に保管している安全書類の一部。1バインダーあたり最大1000枚程度の書類が綴じられています
Greenfile.workユーザーの企業が実際に保管している安全書類の一部。1バインダーあたり最大1000枚程度の書類が綴じられています

安全書類の主な用途

安全書類を作成する目的は、事故の危険性をできるだけ下げ発生を未然に防ぐため、 そして万が一起こってしまった場合に、適切な処置を最大限早く取れるようにするため です。
具体的に整理すると以下の3つの用途が挙げられます。
1. 責任の所在の明確化
2. 作業員の安全や権利の保証
3. 工事における法令遵守の記録

安全書類によって本当に現場の安全性は変わったか

住宅やビルなどはもちろん、陸橋や空港、大型商業施設など規模が大きくて私達の生活に必要不可欠な街づくりの仕事の裏には、多くの事故の危険が潜んでいます。
残念ながら、労災による死亡者数は各業界ごとに比較すると建設業界が一番多くなっています。
 
出典:厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課「令和2年における労働災害発生状況(確定)」を基にシェルフィー株式会社が図を作成。
出典:厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課「令和2年における労働災害発生状況(確定)」を基にシェルフィー株式会社が図を作成。
書類で変わるのかと疑問に思う方もいるかもしれません。実際に建設業労働災害防止協会のデータを見ていると、事故が多く認識され、建業法に改正が加わった昭和35年や労働安全衛生法制定の昭和47年以降、どんどんと事故数が減少していることが分かります。
これは書類を通じて
  1. 事故原因のログを取得
  1. 統計を取る
  1. 安全対策のPDCAを地道に繰り返す
ことで日々現場における安全への意識が高まることに繋がったからと考えられます。 つまり、書類によって今後同じ過ちを繰り返さないようにするということが本当に大切であることがわかります。
出典:建設業労働災害防止協会「建設業における労働災害発生状況」より
出典:建設業労働災害防止協会「建設業における労働災害発生状況」より

安全書類の適切な作成による副次的作用

ここまでが法律的な背景も含めた大前提の意味合いですが、最近は下記の二次的意義も出てきています。

評点UP、案件獲得

事故のない現場は公共工事(国が発注する工事)の評点に直接的に繋がります。 評点が高くないと入札で勝ちづらくなり、ミスのない書類をしっかり作成することで受注率アップに繋がります。

イメージアップ

安全衛生管理がされている・事故のない現場は、クリーンな現場に繋がります。 担い手不足の売り手市場の中、現場及び会社のイメージは非常に大切で、特に民間工事における信用に繋がってきています。

現場の活動を止めない

事故が起こると、工事を止めて調査等対応しなければなりません。 発注主への違約金が発生したり、重機リースなども一日数百万と費用がかかるため、工期の遅れは大きな損害に繋がります。